本気で農家になりたい人へ について知っていることをぜひ教えてください
高子地区ぶどう農家 山田俊一郎さん
やる気がある人を応援したい
「東京に生まれて農家をやりたいという人がいる。でも、最初から何も無い状態から農家をやるのは無理な話」と山田さんは言う。
畜産が盛んなデンマークでは、誰かが畜産を辞めたら、その土地を国が新しい人に貸すという。「土地は誰々のもの」と拘るのではなく、ビジネスとして合理的に考える。
島根県では農業用ハウスを県が貸し出している。募集には募集人数よりも多い応募があったそうだ。
「やる気がある人は居る。それをなんとかするのが行政の仕事。自分もなんとかしたい。農家やりたいなら、なんでも教えてやるよ」と山田さんは言う。
お金をもらっても痛ましいぐらいのものをつくる
「良いものをつくると売りたくない」と山田さんはいう。
誰かの手に渡っていってしまう自分のぶどうが痛ましい。でも、それぐらいのものをつくらなくてはならない。
ぶどうは芸術品。質を追求していくしかない。
痛ましいほどのぶどうがトップにあれば、それに近いものが沢山できる。
そして、500円までのものは50円、100円単位の交渉になる。2,000円を超えると500円単位になる。
「保原の箱に入っていると美味しい」と言われるような、ブランドをつくりたい。
土の栄養が多すぎると、子をつくらない
土は重要。ただ、堆肥を入れて、肥沃にすれば良いわけではない。
栄養が多すぎると、子(実)をつくらない。
例えばネギは、乾燥した土地でなんとか水分を蓄えようとする。それが美味い。
石があると、その裏は乾きにくい。水分を求めて根が石の裏まで届くと、ミネラルも吸ってくる。
高子の土は乾くと赤くなる。鉄分を含んでいる。マンガンやマグネシウムもあると思われる。
それらを吸えば、ぶどうが良い光合成をして美味くなる。
農家の長男と同じ状態をつくる
「自分も父に助けられた」と山田さんは言う。
安い雨避けハウスを使っていたら、風でめちゃくちゃになった。その時、父親が農協からお金を借りたりしてくれた。
自分に栽培を任せてくれた。品評会で賞を取った時は喜んでくれた。
農業は土地や機械が全くない状態では始められない。
外から来てやる気がある人に農業をやってもらうためには、農家の長男と同じ状態をつくらないといけない。
そして最初の2、3年は研修期間として、本当にやる気があるか、ふるいにかける。行政が信用を与えて、お金を借りられるようにすることも考えられる。
外からの新しい視点とのふれあいで、新しいものが生まれる。
魅力のある人間が居れば、外から人が来る。
その本人は自分の魅力に気づいていないことが多い。
作り変えてくれる人に来て欲しい。
農業は人の健康や生きることに繋がる尊い仕事。
ぶどうの面白さを、色々な人に気づかせたい。
「この知識で30代ならな」と山田さんは笑う。